Our Journey
2019
エレファントコーヒーが生まれたのは、福岡県筑紫野市・朝倉街道駅のすぐそば。わずか10坪という小さなスペースから、私たちの物語は始まりました。
アメリカ駐在から帰国したばかりの今村が、まるで導かれるように出会ったその場所。
「この小さな店が、街の交流の拠点になるかもしれない」——そう感じた直感を信じて、自分たちの手で改装し、2020年10月、エレファントはオープンを迎えました。
当時、取り扱っていたコーヒーはウガンダ産のオーガニックコーヒーのみ。
種類は少なくとも、1杯1杯を心を込めて丁寧に淹れたコーヒーは、「コーヒーが苦手だったけど、これは飲めた」と言ってくださる方も多く、静かにファンを増やしていきました。
オープンの翌月、11月には今村と妻が結婚。妻も会社を退職し、店舗経営に本格的に参加するようになりました。自宅はお店のすぐ近く。日々の経理を担当しながら、家庭とお店の両方に心を配るかけがえのない存在です。

2020
焙煎に迷い、出会いに救われた日々
不安の中に灯った、コーヒー人生の光。
開店からわずか3ヶ月、世界はコロナ禍へと突入しました。
不安が渦巻く中で、私たちは本格的に焙煎の世界へ足を踏み入れました。
振り返れば、あれは「不幸中の“大”幸い」。多くの出会いと学びに恵まれた、人生の転機とも言える1年でした。
自宅の倉庫に設置したアウベルクラフト社の手回し焙煎機で、夫婦2人きりの焙煎が始まりました。焼きたてのコーヒーを、駅前の小さな店で提供できるようになったのです。
同時に今村は、焙煎という深い森に迷い込むことになります。
スペシャルティコーヒー豆を各国から取り寄せ、焼いては飲み、焼いては記録をとる。独学の焙煎は、試行錯誤の連続でした。1年経ってもなお答えは見えず、光のないトンネルをさまよっているような日々。
そんな時、一筋の光明が差しました。
福岡・薬院の「マヌコーヒー」さん。西岡さんをはじめ、社長やスタッフの皆さんが、まるで家族のように手を差し伸べてくださいました。
お借りした小型焙煎機で毎晩焙煎し、お客様の反応を見ては改善を繰り返す日々。
週に2度はマヌコーヒーさんに足を運び、一緒に働かせていただく中で、焙煎士やバリスタの所作、会話、考え方を肌で学ばせていただきました。
あの頃の記憶は、今でも鮮明です。
「福岡の雪」を見ると、決まって思い出すのは——
シャンシャンと大きな焙煎機が回るマヌコーヒーの景色。
あの時間が、コーヒー屋としての“礎”を築いてくれたのです。
そしてその頃、私たち家族に子どもが生まれました。
子育てと店舗経営が並行する新たな暮らしが始まり、コーヒーと共に歩む人生は、より一層かけがえのないものになっていきました。


2021
家族で焙煎するコーヒーの時間
私たちは、フジローヤル社製の小型焙煎機「コーヒーディスカバリー」を導入し、夫婦での焙煎をスタートしました。
日中は今村が店舗運営を担当し、妻は経理や焙煎、デザートづくり、そして子育て。夜になると、夫婦で焙煎に向き合う。そんな忙しくもあたたかい毎日の中で、エレファントコーヒーと子どもたちが一緒に育っていくことに、私たちは何よりの喜びを感じていました。
少しずつ常連さんも増え、地域の方との会話や笑顔のやりとりが日常になっていきました。
やがて福岡市内や久留米、さらには県外からもお客様が訪れるように。
コロナ禍という困難な時期にもかかわらず、多くの方々に支えられながら、私たちは静かなる成長のときを過ごしました。
そしてその流れは、2022年のさらなる飛躍へとつながっていきました。
目の前の一杯に全力を注ぐ毎日が、やがて未来を切り拓く力になると、私たちは信じています。

2022
エレファントコーヒーでは、最高の一杯を追求するため、設備にも一切の妥協をしません。導入しているのは、イタリアのVictoria Arduino(ヴィクトリア・アルドゥイーノ)社製のBlack Eagle(ブラックイーグル)。世界中のトップバリスタが愛用する、まさに“世界最高峰”のエスプレッソマシンです。
さらに、最新のグラインダーの導入によりデカフェエスプレッソの提供が可能に。製氷機もアップグレードし、硬くて長時間溶けにくい氷を使った高品質なドリンクを実現しました。
そして、初めてのオリジナルブラックカップも完成。テイクアウトでもブランドのこだわりを感じていただけます。
「筑紫野で、世界一のコーヒーを出したい」
「エレファントに来る時間が、誰かの幸せになるように」
そんな想いを胸に、私たちは日々お客様をお迎えしています。
共感して集まってくれた若くてパワフルな仲間たちと共に、チームで成長を続けています。
ここに来れば、ちょっと元気が出る。
そんな存在でありたいと願って、今日も一杯に心を込めて。

2023 ~
一杯のラテアートに、世界を込めて。
私たちは、“感動する一杯”を届けるために、ラテアートの技術と表現を日々追求しています。有名バリスタを店舗に招いたり、スタッフ限定の大会を開催したりと、現場から学び合い、共有し合う文化を育んできました。
開業当初は自宅倉庫で小さな手回し焙煎機からスタートしましたが、店舗の来客が増え、コーヒー豆の卸先も全国に広がるにつれて、焙煎設備も次第に進化。
1kg釜、3kg釜へとアップグレードを重ねても追いつかず、現在では最新の電気式焙煎機を導入し、季節や天候に左右されずに、年間を通して安定した高品質のコーヒーを焙煎できるようになりました。
代表・今村は、アメリカ・カリフォルニア州アナハイムで開催された「Coffee Fest Latte Art World Championship Open」で世界大会に初出場。わずか1年半の準備期間で世界のバリスタたちと競い合うという無謀ともいえる挑戦を経て、その後もニューヨーク、ポートランドと世界大会に出場。現在も「世界チャンピオンになる」という目標を掲げ、毎年挑戦を続けています。
また、毎月100名を超える生徒が通うラテアート教室を運営し、
YouTubeチャンネル『Imamura Latte Art Academy』では、国内外のバリスタ育成に力を注いでいます。
さらに、カフェ開業サポートやコンサルティングにも取り組み、
“美味しいコーヒー”を提供するだけでなく、“珈琲やカフェ文化を根づかせ、広げる”ことを使命としています。
ラテアートは、技術であり、表現であり、文化です。
その一杯に込めた想いが、誰かの心を動かす瞬間をつくることを信じて——
私たちは、これからも世界に挑み続けます。

