エスプレッソマシンは、なぜ2連なのか。
更新日:9月29日
店を開きたい気持ちの中には、楽しみも、不安も、「たぶん何とかなる」という自信もあります。どれか一つを消す必要はありません。大切なのは、その気持ちを一つずつ行動に変えていくことです。
この文章は、開業を難しく見せるためではありません。分からないことを具体的にして、最初の一歩を少し軽くするために書いています。
小さい店なのに、2連のエスプレッソマシンは必要ですか。
開業相談で、よく出る質問です。
店が小さいと、機械も小さくしたくなります。
でも僕は、コーヒーを主力にして売上をつくるなら、店の坪数より「一番忙しい10分間」を見ます。
1杯つくれるか、ではなく、10杯をどう出すか。
1連でも、おいしいエスプレッソはつくれます。
問題は、注文が重なったときです。
ラテ3杯、アメリカーノ2杯。その後ろにテイクアウトが並ぶ。
この瞬間に、抽出とスチームをどれだけ並行できるか。
店の売上上限は、平均時ではなくピーク時に決まることがあります。
開業前にこのテーマを考えると、必要以上に怖く感じることがあります。特に、高いマシンへ投資して回収できなかったり、逆に安く抑えて営業中に能力不足になることは、まだ営業していない段階では答えが見えないからこそ大きく感じます。
ただ、「1杯つくれるか、ではなく、10杯をどう出すか。」で必要なのは、完璧な正解ではありません。自分の店ならどうしたいかを一度仮置きすることです。数字でも、図でも、候補でもいい。仮の答えがあると、次に確認することが見えてきます。
逆に少し注意したいのは、一人で営業するなら1連で十分という単純な考えことです。勢いは開業に必要ですが、その勢いを長く守るために、今の段階で一つだけ根拠を足しておく。僕はそのくらいのバランスがちょうどいいと思っています。
2連は、贅沢品ではなく生産設備。
高級なマシンを置くこと自体に意味があるわけではありません。
意味があるのは、人を増やさず、短時間に安定して提供できることです。
ワンオペだからこそ、設備に仕事をしてもらう。
人件費を抑える代わりに、機械の処理能力を上げる。
そう考えると、2連は見栄ではなく生産性への投資になります。
ここは、店づくりの中では少し地味な話です。内装やマシンのように写真映えもしません。でも、開業後に「もっと早く考えておけばよかった」となりやすいのは、こういう地味な部分です。
ピークでも品質を落とさず、売上を取りこぼさない店という希望があるなら、「2連は、贅沢品ではなく生産設備。」はその希望を小さくするための話ではありません。むしろ、好きなことを続けるための余白をつくる話です。
全部を一度に決めなくても大丈夫です。まずはピーク30分に何杯出したいかからマシン能力を考えること。一つだけ動かすと、不安の輪郭が見えてきます。開業準備は、大きな勇気より小さな確認の積み重ねで進みます。
安く買うより、止まらないこと。
マシンを選ぶとき、価格だけを見ると危険です。
故障したときに誰が来るのか。部品は国内にあるのか。修理に何日かかるのか。
コーヒーが主力の店でマシンが止まれば、その日の売上に直結します。
だから性能と同じくらい、メンテナンス体制を見ます。
営業を止めないことも、設備の性能です。
「安く買うより、止まらないこと。」で迷うのは、経験がないから当然です。初めて店を開くのに、最初からすべて分かっている人はいません。
僕が大事だと思うのは、正解を当てることより、外しても戻れる状態を残すことです。現金を残す。固定費を重くしすぎない。後から変えられるものは後回しにする。そういう余白があれば、開業後に現実を見ながら修正できます。
根拠のない自信も、全部なくす必要はありません。「自分ならできる」という気持ちは大事です。ただ、その横に数字や確認を一つ置く。その繰り返しで、自信が少しずつ強くなります。
予算が足りないなら、業態から考え直す。
以前、カフェ開業に1,000万円は高いのかという記事でも書きました。
必要な設備を削って同じ商売をしようとすると、開業後に処理能力が足りなくなることがあります。
それなら、一度ドリップ中心の小型店にするのか。資金を準備してエスプレッソを主力にするのか。
機械を小さくする前に、商売の形を決めます。
調べるほど情報が増えて、かえって動けなくなることがあります。ネットには全国の店の事例が出ていますが、その全部が自分の店に必要なわけではありません。
「予算が足りないなら、業態から考え直す。」も、自分の10〜15坪の店、自分の営業時間、自分の資金、自分の家族に合わせて考えればいい。一般論をそのまま背負う必要はありません。
開業前の金縛りは、情報が足りないことより『どの情報を自分に当てはめればいいか分からない』ことで起きることがあります。そんなときは、誰かと話しながら自分の条件に翻訳するだけで、かなり軽くなります。
マシンは、未来の売上に合わせて選ぶ。
今、一日20杯だから1連。
それだけで決めると、売れたときに買い直すことになります。
僕なら、目標とする売上のときに耐えられるかを見る。
機械は今日のためだけに買うものではありません。
売れた日の店を止めないために選びます。
店を持ちたいと思ったとき、頭の中にはたぶんもう景色があります。カウンターに立つ自分、お客さんがコーヒーを飲む姿、常連さんができていく時間。
「マシンは、未来の売上に合わせて選ぶ。」のような実務は、その景色と反対側にあるものではありません。夢を現場まで運ぶための橋です。
面倒なことを一つ終わらせるたびに、開業は少し現実になります。準備は夢を冷ますためではなく、夢の解像度を上げるためにあります。
まだ、相談するほど決まっていなくても。
物件が決まっていない。予算も曖昧。何を聞けばいいかも分からない。そういう段階でも大丈夫です。むしろ、その段階だからこそ誰かに話してみる意味があります。
きれいな事業計画書を作ってから相談する必要はありません。物件のスクリーンショット一枚でも、ノートに書いた予算でも、「カフェをやりたいんですが、何から考えればいいですか」という一言でも十分です。
ELEPHANT COFFEEにコーヒーを飲みに来て、店を見ながら話してみる。今村に相談してみる。InstagramのDMで、まだ何も決まっていないことをそのまま送ってみる。
話したから必ず開業しないといけないわけではありません。話してみて「今じゃない」と分かることも、「この予算ならここから」と見えることもあります。それも、ちゃんと前進です。
一人で考え続けて動けなくなるくらいなら、まず一度、店を見に来てください。コーヒーを飲みながら、自分の店の話をするところからでいいです。
ELEPHANT COFFEE
福岡県筑紫野市、朝倉街道駅前。
エスプレッソ、ラテアート、焙煎を中心に、小さなカフェを営んでいます。
営業時間:10:00–18:00
アクセス:Googleマップで見る
店頭でのコーヒー提供のほか、ラテアート教室、バリスタ向けレッスン、コーヒー豆の卸販売、カフェ開業サポートも行っています。
CAFE OPENING SUPPORT|カフェ開業サポート
これからカフェを開きたい方へ。
物件選び、資金計画、エスプレッソマシン、メニュー設計、抽出レシピ、スタッフ教育、プレオープン、集客まで。
ELEPHANT COFFEEでは、店を開くところだけではなく、開いたあとに続く店をつくることまで一緒に考えています。
すでに物件を探している方も、まだ何から始めればいいかわからない方もご相談ください。
LESSON|ELEPHANT COFFEEで学ぶ
初心者の方から、現役バリスタ、カフェ開業を目指す方、海外で働きたい方まで。
目的に合わせたレッスンを行っています。
ラテアート教室
初心者から段階的にステップアップしていく少人数制レッスン。
マンツーマンレッスン
一人ひとりの課題や目標に合わせて、エスプレッソ・ミルク・ラテアートまで個別にトレーニング。
家庭用エスプレッソマシン持ち込みレッスン
普段使用しているマシンを持ち込み、ご自身の環境に合わせて抽出やスチーミングを調整します。
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ELEPHANT COFFEE
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