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いい物件って、どんな物件だろう。カフェ開業で、家賃より先に見ておきたいこと。

4 日前
読了時間: 9分

カフェを開こうと思ったら、まず物件を探す。

駅前。

商店街。

住宅地。

路地裏。

新築。

居抜き。

スケルトン。

物件サイトを見ていると、だんだん「家賃」と「坪数」ばかりを見るようになります。

でも、カフェの物件選びで本当に大切なのは、

安いか、高いか。

だけではありません。

僕が見るのは、

この場所で、ちゃんと営業できるか。

です。


家賃が安くても、工事費が高い物件があります。

立地が良くても、ワンオペでは回しにくい物件があります。

広くても、売上につながらない空間もあります。


逆に、

少し狭くても。

駅から少し離れていても。

営業しやすくて、固定費が低くて、ちゃんとお客さんが来る。

そんな店もあります。

物件は、ただの箱ではありません。

その店の売上と働き方を、かなりの部分まで決めるもの。

今回は、10〜15坪くらいの小さなカフェを想定して、

僕ならどこを見るかを書いてみます。



「人通りが多い」は、正義ではない。

物件を探していると、

「ここ、人通り多いですよ」

と言われることがあります。

たしかに、人がたくさん歩いている場所は魅力的です。


ただ、

人通りが多いことと、

その人たちが店に入ってくれることは別です。

会社員が急いで駅に向かう道。

学生が学校へ向かう道。

観光客が目的地へ移動する道。

同じ100人が歩いていても、

その100人の目的は違います。

だから、

「何人通っているか」

だけではなく、

「どんな人が、何のために、この前を通るのか」

まで見た方がいい。


朝に強い場所なのか。

昼に強いのか。

休日に人が増えるのか。

近くに住んでいる人なのか。

わざわざ来る人なのか。

その人たちが、

自分の店で800円、1,000円、1,500円を使う理由があるのか。

そこまで考えると、

ただの「人通り」が、

少し違って見えてきます。



家賃ではなく、「売上との比率」で考える。

家賃10万円。

安い。

家賃20万円。

高い。

そうやって考えたくなります。

でも、本来見るべきなのは、

家賃単体の金額ではありません。

その店で、どれくらい売れるのか。


たとえば、

月商100万円の店で家賃20万円。

これはかなり重い。


一方で、

月商300万円をつくれる場所で家賃20万円なら、

同じ20万円でも意味が変わります。

物件を探すときは、

「この家賃を払えるか」

ではなく、

「この家賃を払って、利益が残る売上をつくれるか」

と考えます。


家賃は毎月払います。

調子がいい月も。

雨の日が続く月も。

冬も。

夏も。

だから、

背伸びしすぎると、ずっと効いてきます。

内装費は一度。

家賃は毎月です。

この差は大きいです。





安い物件ほど、工事費を見る。

たとえば、

家賃8万円。

15坪。

場所も悪くない。

一見、とてもいい物件です。


でも、

電気容量が足りない。

給排水を大きくやり直す。

エアコンも交換。

トイレも改修。

厨房区画もつくる。

そうなると、

家賃で浮いたお金以上に、

最初の工事費がかかることがあります。


逆に、

家賃12万円でも、

飲食店の居抜きで、

水道がある。

電気も取れる。

エアコンも使える。

カウンターも残っている。

そういう物件なら、

トータルでは安くなることがあります。

だから、

物件を見るときは、

「この物件はいくらで借りられるか」ではなく、

「この物件で営業を始めるまでに、いくらかかるか」

を見る。

ここはかなり大事です。





エスプレッソマシンを置けるか。

コーヒーを主力にする店なら、

ここは最初に確認します。

2連のエスプレッソマシン。

グラインダー。

製氷機。

冷蔵庫。

オーブン。

食洗機。

こういう機械を置くと、

思っている以上に電気を使います。


だから、

物件を気に入ってから確認するのではなく、

候補になった段階で電気容量を見る。

そして、

給水。

排水。

浄水。

ここも確認します。

エスプレッソマシンは、

置けば動くわけではありません。

水がいる。

排水がいる。

電気がいる。

それを後から無理やりつくると、

工事費が跳ね上がります。

カフェの物件探しは、

インテリアの話より先に、

設備の話をした方がいい。

そう思っています。





カウンターの「奥行き」を見る。

物件を見に行くと、

どうしても客席を見ます。

ここにテーブルが置ける。

ここに4席。

窓際にも座れる。

もちろん大事です。

でも、

ワンオペのカフェなら、

僕は客席より先に、

カウンターの中を見ます。


マシンを置く。

グラインダーを置く。

冷蔵庫を置く。

氷を取る。

カップを取る。

ミルクを取る。

会計する。

洗う。

この流れが、

無理なくつながるか。

狭すぎないか。

逆に広すぎないか。

人が入れるか。

ふたり立ってもぶつからないか。


ワンオペの店は、

広ければいいわけではありません。

広すぎると、

歩く距離が増えます。

1杯出すたびに3歩余計に歩く。

それを1日100杯。

1年続ける。

小さな違いですが、

毎日の営業では大きな違いになります。





10〜15坪なら、「全部使わない」。

15坪ある。

だから、

15坪全部に役割を与えたくなります。

ここに客席。

ここに棚。

ここに物販。

ここにも席。


でも、

空間は、

埋めればいいわけではありません。

人が通る場所。

スタッフが動く場所。

お客さんが待つ場所。

荷物を置く場所。

そういう、

売上にならない空間も必要です。


むしろ、

その余白がない店は、

混んだ瞬間に苦しくなります。

小さい店ほど、

1坪を売上に変えたくなる。

気持ちは分かります。


でも、

余白があることで、

店は回りやすくなる。

そして、

お客さんも居心地がよくなる。

だから、

席数だけで物件を判断しない方がいいと思っています。





1階だからいい、とは限らない。

カフェは1階がいい。

これは、たしかに分かりやすいです。

入りやすい。

店内が見える。

テイクアウトも取りやすい。


ただ、

その分、家賃も上がりやすい。

だから、

2階だからダメ。

地下だからダメ。

とは思いません。

目的来店をつくれる店なら、

2階でも成立します。


SNSで知って。

Googleマップで探して。

その店のコーヒーを飲みに来る。

そういう店なら、

多少見つけにくくても来てもらえます。


逆に、

通りがかりだけを頼りにする店なら、

1階の方が強い。

つまり、

立地の良し悪しは、店の集客方法によって変わる。

ということです。





駐車場が必要な街もある。

駅前と郊外では、

同じカフェでも物件の選び方が変わります。

都心なら、

駅から徒歩何分。

人通り。

オフィス。

商業施設。

そういうものが大事になります。


一方で、

地方や郊外なら、

駐車場。

道路からの入りやすさ。

右折できるか。

店を見つけやすいか。

そういうことが大事になります。


徒歩5分の店より、

車で入れない店の方が厳しいこともあります。


だから、

東京でうまくいっている店の立地条件を、

そのまま地方に持ってきても、

うまくいかないことがあります。

その街では、どうやってカフェに行くのか。

ここから考えます。





物件を見に行くなら、時間を変える。

気になる物件が見つかったら、

一度だけ見て決めない方がいいです。

できれば、

朝。

昼。

夕方。

平日。

休日。

何度か見ます。

朝は静かだったのに、

夕方は車が多い。

平日は人がいるのに、

日曜日は誰も歩いていない。


逆に、

平日は静かでも、

休日になると人が集まる。

街には時間があります。


物件情報には、

その時間までは書いてありません。


だから、

自分で見に行きます。

店の前に立って、

10分でもいいので、

人と車を見ます。

意外と、これが一番分かりやすいです。





隣の店を見る。

僕なら、

物件そのものだけではなく、

周りの店も見ます。

どんなカフェがあるのか。

パン屋はあるのか。

美容室はあるのか。

飲食店は続いているか。

閉店が多くないか。

新しい店が増えているか。


そして、

その街に、

自分の店と同じくらいの価格帯のお店があるか。

1杯700円のラテを売りたいのに、

周囲では300円のコーヒーしか売れていない。

それでも成立させる方法はあります。


ただ、

その場合は、

「なぜこの店には700円払うのか」

をかなり強くつくらないといけません。


物件を見るというより、

その街の商売を見る。

そんな感覚に近いです。





居抜きは、本当に安いのか。

居抜き物件は魅力的です。

厨房が残っている。

カウンターがある。

照明もある。

すぐ始められそうに見えます。


ただ、

残っているものが、

自分の店に必要なものとは限りません。

使わない厨房設備。

動きにくいカウンター。

古いエアコン。

不要な壁。

全部撤去するなら、

居抜きの意味がなくなります。


だから、

「設備が残っているからお得」

ではなく、

「自分が使う設備が残っているからお得」

と考えます。


居抜きだから選ぶ。

スケルトンだから避ける。

ではなく、

その店をつくるのに、

どちらが合理的か。

そこだけです。





その物件で、5年やれるか。

物件を見つけると、

早く決めたくなります。

「誰かに取られるかもしれない」

と言われることもあります。


もちろん、

本当にいい物件は早く決まります。

でも、

焦って契約した家賃は、

そのあと何年も払い続けます。


だから、

僕なら最後に、

こう考えます。

この場所で、5年営業する姿が想像できるか。


売上が伸びたとき。

スタッフが増えたとき。

雨の日。

暑い日。

暇な月。

忙しい土曜日。

その全部を、

この物件でやれるか。

店を開けることだけなら、

物件はたくさんあります。

でも、

続けられる物件となると、

少し減ります。





いい物件は、「いい場所」だけではない。

駅前だから。

角地だから。

家賃が安いから。

居抜きだから。


それだけで、

いい物件とは言えません。


電気が使える。

水が取れる。

営業しやすい。

家賃が無理なく払える。

お客さんが来る理由がある。

スタッフが働きやすい。

そして、

何年も続けられる。

それらが重なった場所が、

その店にとっての、

いい物件。

だと思います。

物件探しは、

店をつくる前の話に見えます。

でも実際には、

もうその時点から、

経営は始まっています。


 
 
 

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