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一杯を、何歩で出せるか。

9月24日
読了時間: 7分

更新日:9月29日

店を開きたい気持ちの中には、楽しみも、不安も、「たぶん何とかなる」という自信もあります。どれか一つを消す必要はありません。大切なのは、その気持ちを一つずつ行動に変えていくことです。

この文章は、開業を難しく見せるためではありません。分からないことを具体的にして、最初の一歩を少し軽くするために書いています。



カウンターは、写真で見ると一枚の景色です。

でも、働く側から見ると、何百回も往復する道です。


エスプレッソを挽く。抽出する。ミルクを取る。氷を取る。会計する。洗う。

一杯の中に、たくさんの移動があります。

ワンオペの店では、この数歩がそのまま提供速度になります。



一杯を、最初から最後まで歩いてみる。



図面を見るとき、僕なら頭の中で注文を一杯入れます。

ラテが入りました。

カップを取る。豆を挽く。抽出する。冷蔵庫からミルクを取る。スチームする。提供する。


そのあとピッチャーを洗う。

この流れで身体が何回向きを変えるか、何歩歩くかを見ます。




開業前にこのテーマを考えると、必要以上に怖く感じることがあります。特に、オープンしたら忙しさに飲まれ、接客もコーヒーも雑になってしまうことは、まだ営業していない段階では答えが見えないからこそ大きく感じます。


ただ、「一杯を、最初から最後まで歩いてみる。」で必要なのは、完璧な正解ではありません。自分の店ならどうしたいかを一度仮置きすることです。数字でも、図でも、候補でもいい。仮の答えがあると、次に確認することが見えてきます。


逆に少し注意したいのは、自分が頑張って速く動けば何とか回るという感覚ことです。勢いは開業に必要ですが、その勢いを長く守るために、今の段階で一つだけ根拠を足しておく。僕はそのくらいのバランスがちょうどいいと思っています。



使用頻度が高いものほど、近くに置く。



一日に100回使うものと、5回使うものを同じ優先順位で置きません。

ミルク、カップ、ピッチャー、ノックボックス、氷。

毎回触るものは手を伸ばせる範囲に寄せる。


ストックや予備品は少し離れてもいい。

収納は、きれいに収めることより、使用回数に合わせて距離を決めます。




ここは、店づくりの中では少し地味な話です。内装やマシンのように写真映えもしません。でも、開業後に「もっと早く考えておけばよかった」となりやすいのは、こういう地味な部分です。


少ない人数でも、落ち着いて一杯ずつ出せる店という希望があるなら、「使用頻度が高いものほど、近くに置く。」はその希望を小さくするための話ではありません。むしろ、好きなことを続けるための余白をつくる話です。


全部を一度に決めなくても大丈夫です。まずは一杯を出す動作を歩数と手数で分解すること。一つだけ動かすと、不安の輪郭が見えてきます。開業準備は、大きな勇気より小さな確認の積み重ねで進みます。



会計とドリンク製造をぶつけない。



ワンオペで難しいのが、レジ対応中にもドリンクが待っていることです。

会計する人と、完成したドリンクを受け取る人が同じ場所に集まると、ピーク時に詰まります。

注文、製造、受け渡し。


この三つの流れができるだけ交差しないようにする。

小さい店ほど、数十センチの設計が効いてきます。




「会計とドリンク製造をぶつけない。」で迷うのは、経験がないから当然です。初めて店を開くのに、最初からすべて分かっている人はいません。


僕が大事だと思うのは、正解を当てることより、外しても戻れる状態を残すことです。現金を残す。固定費を重くしすぎない。後から変えられるものは後回しにする。そういう余白があれば、開業後に現実を見ながら修正できます。


根拠のない自信も、全部なくす必要はありません。「自分ならできる」という気持ちは大事です。ただ、その横に数字や確認を一つ置く。その繰り返しで、自信が少しずつ強くなります。



広い厨房が、働きやすいとは限らない。



厨房は広い方がいいように見えます。

でも、広くなれば歩きます。

特にワンオペでは、必要なものがコンパクトにまとまっている方が速い。


狭さを我慢するのではなく、必要な範囲だけに仕事を集める。

小さい店には、小さい店にしかつくれない速い動線があります。




調べるほど情報が増えて、かえって動けなくなることがあります。ネットには全国の店の事例が出ていますが、その全部が自分の店に必要なわけではありません。


「広い厨房が、働きやすいとは限らない。」も、自分の10〜15坪の店、自分の営業時間、自分の資金、自分の家族に合わせて考えればいい。一般論をそのまま背負う必要はありません。


開業前の金縛りは、情報が足りないことより『どの情報を自分に当てはめればいいか分からない』ことで起きることがあります。そんなときは、誰かと話しながら自分の条件に翻訳するだけで、かなり軽くなります。



内装は、毎日の身体を設計すること。



壁の色は、あとで変えられます。

棚も、あとから足せます。

でも給排水やカウンターの位置は、簡単には変えられません。


だから僕なら、見た目を決める前に一杯をつくります。

何歩で出せるか。その数字は、何年も働く自分を助けてくれます。





店を持ちたいと思ったとき、頭の中にはたぶんもう景色があります。カウンターに立つ自分、お客さんがコーヒーを飲む姿、常連さんができていく時間。


「内装は、毎日の身体を設計すること。」のような実務は、その景色と反対側にあるものではありません。夢を現場まで運ぶための橋です。


面倒なことを一つ終わらせるたびに、開業は少し現実になります。準備は夢を冷ますためではなく、夢の解像度を上げるためにあります。




まだ、相談するほど決まっていなくても。


物件が決まっていない。予算も曖昧。何を聞けばいいかも分からない。そういう段階でも大丈夫です。むしろ、その段階だからこそ誰かに話してみる意味があります。


きれいな事業計画書を作ってから相談する必要はありません。物件のスクリーンショット一枚でも、ノートに書いた予算でも、「カフェをやりたいんですが、何から考えればいいですか」という一言でも十分です。


ELEPHANT COFFEEにコーヒーを飲みに来て、店を見ながら話してみる。今村に相談してみる。InstagramのDMで、まだ何も決まっていないことをそのまま送ってみる。


話したから必ず開業しないといけないわけではありません。話してみて「今じゃない」と分かることも、「この予算ならここから」と見えることもあります。それも、ちゃんと前進です。


一人で考え続けて動けなくなるくらいなら、まず一度、店を見に来てください。コーヒーを飲みながら、自分の店の話をするところからでいいです。





ELEPHANT COFFEE

福岡県筑紫野市、朝倉街道駅前。

エスプレッソ、ラテアート、焙煎を中心に、小さなカフェを営んでいます。


営業時間:10:00–18:00


店頭でのコーヒー提供のほか、ラテアート教室、バリスタ向けレッスン、コーヒー豆の卸販売、カフェ開業サポートも行っています。





CAFE OPENING SUPPORT|カフェ開業サポート

これからカフェを開きたい方へ。


物件選び、資金計画、エスプレッソマシン、メニュー設計、抽出レシピ、スタッフ教育、プレオープン、集客まで。

ELEPHANT COFFEEでは、店を開くところだけではなく、開いたあとに続く店をつくることまで一緒に考えています。


すでに物件を探している方も、まだ何から始めればいいかわからない方もご相談ください。






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初心者の方から、現役バリスタ、カフェ開業を目指す方、海外で働きたい方まで。

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